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『内側から見た富士通 「成果主義」の崩壊』

『内側から見た富士通 「成果主義」の崩壊』
城繁幸
光文社ペーパーバックス

内側から見た富士通「成果主義」の崩壊 (ペーパーバックス)

Chapter 1 急降下した業績
Chapter 2 社員はこうして「やる気」を失った
Chapter 3 社内総務責任体制
Chapter 4 「成果主義」と企業文化
Chapter 5 人事部の暗部
Chapter 6 日本型「成果主義」の確立へ

古い本だが,怖いもの見たさに読んでみた.

光文社ペーパーバックスは,横書きで,単語の後ろに英単語が書かれているのだが,これがすごく読みづらいdifficult to read.ルー大柴かよ.

そもそも成果主義は賃金抑制の必要性を背景して導入された.それは輸入元のアメリカであっても同様であった.

結果,業績も上がらず,賃金も増加してしまうという大失敗.評価という労働の動機の重要な部分を賃金抑制のために導入するのは根本的に間違っていると思う.解雇や減給は簡単にできないが,他に方法はなかったのか.

しかしながら,成果主義の理念を聞けば,なるほどと思う人も多いだろう.自由主義経済のように神様がうまいこと調整して,生産性が最大化する.中途半端に賢い人は騙されてしまいそうな理屈である.

現実には,成果主義の導入は大失敗だった.社員のモチベーションは下がるばかり.成果主義の理念は全く実現できていなかった.成果を出そうが出すまいが,最初から評価は決まっている.部署の社内権力のバランスで評価が決まってしまう.成果主義は完全に有名無実と化してしまっていた.

原因は成果主義年功序列という本質的に相容れない制度を共存させたことだと指摘している.特に富士通ムラ社会的な風土が濃く,無理に成果主義を導入したために,年功序列の悪い部分が顕在化した.

大企業というのは,どこも少なからずムラ社会で管理職は官僚的だろう.成果主義の導入は失敗だったが,本書を読む限り,成果主義を導入せずにいても,いずれは破綻していたのではないかと思える.

もし,この先,本当に富士通が崩壊crashing down することがあれば,それは「成果主義」のせいではない.むしろ,「ムラ社会」によるところが大きいはずだ.だだし,この2つの相容れない制度を両立させたことは,もっと罪深い(p.148)

年功序列からは少しずつ変えていかねばならない.

制度を作っても,生身の人間が理想通りに動くはずはない.しかし,制度がいかに重要かということはよく分かる.制度が上手くできていなければ,これほどの大混乱を引き起こすのだ.


FJK'S BOOK NOTEの2012年12月記事から一部修正して転載