ビッグデータの真意 『クラウドからAIへ』

クラウドからAIへ アップル、グーグル、フェイスブックの次なる主戦場』
小林雅一
朝日新書

クラウドからAIへ アップル、グーグル、フェイスブックの次なる主戦場 (朝日新書)

当ブログの以下の記事で書いているようなアイデアの実現が、米国の巨大IT企業の次の競争になっている。

究極の出会い系サイトを作る方法: 現実を参考にするアプローチ

ビッグデータの使い方は、事実に基づく科学的な経営だけではなかった。*1

現在のAIはビッグデータから有益な知見を引き出してくれると同時に、そうしたビッグデータを消化吸収して、さらに高度なものへと進化するという便利な性格を備えています。そこから大量のデータが拡大再生産され、そらがまたAIの進化を促すという、無限に続くプラスの循環が生まれるのです。

ビッグデータはAIに使うのだ。AIとは、ここでは機械翻訳やリコメンド、検索といったことをコンピュータにさせることをいう。

AI(Artificial Intelligence、人工知能)の開発は昔から多くの人が試みてきた。それが今、金になりつつある。AIを制するものが世界を制するといった状況で、グーグル・アップル・フェイスブックといった米国の巨大IT企業がAI研究に投資をしている。

AIが金になるのは、便利だからだ。つまり、AIがようやく使えるものになったのだ。この鍵はビッグデータだった。ここでいうビッグデータとは、主にベイズ統計を元にした統計的なアプローチのことだ。インターネットによってデータが溢れ、それを解析する技術が生まれたことで、AIは統計的に正しかろう答えを出すようになった。これが今成功を収めている。

AIを抑えることができれば、ユーザーがインターネット、あるいは社会へアクセスする入り口を抑えることができる。AIは人間と機械をつなぐインターフェイスなのである。入り口を抑えることができれば、それが金になるのは言うまでもない。ポータルサイトの奪い合いの激しさを見よ。

入り口を抑えることができれば、ますますデータが増える。データがデータを呼び、データはどんどん増えていく。そして、データが集まれば、AIがますます賢くなって、ビジネスが拡大していく。

この儲けのポジティブフィードバックループが、ビッグデータというバズワードの真意なのである。

*1: ただの統計は今更な動きだ。これまでの経営は勘でやっていたのか?