「納品」をなくせばうまくいく ソフトウェア業界の“常識"を変えるビジネスモデル
- 作者: 倉貫義人
- 出版社/メーカー: 日本実業出版社
- 発売日: 2014/06/12
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
- この商品を含むブログ (1件) を見る
1章 常識をくつがえす「納品のない受託開発」とは
2章 時代が「納品のない受託開発」を求めている
3章 顧客から見た「納品のない受託開発」の進め方
4章 事例に見る「納品のない受託開発」
5章 「納品のない受託開発」を支える技術とマネジメント
6章 エンジニアがナレッジワーカーになる日
7章 「納品のない受託開発」をオープン化する
「納品のない受託開発」とは、
どこかのタイミングで納品をして受託契約を完了させるのではなく、永続的に受託開発を続けていくことのできるビジネスモデル
である。*1最初に要件定義を行って、出来上がったものを納品するのではなく、顧客と相談しながらエンジニアが月額でできるとこまで開発するという形態で働く。
つまり、アジャイル開発でオーダーメイドのシステムを受託開発するということだ。アジャイルなので、仕様変更対応しやすいだとか、そもそも仕様なんて決める必要がないといった利点がある。エンジニアは、弁護士や税理士のように顧問的な形で顧客にサービスを提供するという。
確かにSIやパッケージソフト、クラウドサービスの隙間をついた業種で、一定の需要はあるとは思うのだが、なんかモヤッとする。事実として、この形態のビジネスで会社が成立しているから反論できないのだが、あえて疑問があるとすれば以下。
1.大口の顧客は付かなくない?
ウェブサービスみたいな一人か二人で作れるような簡単なシステムしか作らないのだから、顧客の事業が大きくなったらあるいは事業が安定化したら内製化するようになる。そのほうが安いし、自由にできる。そうすると顧客は離れるし、場合によってはエンジニアは顧客の会社に移ってしまう。大口の顧客というのは付きようがない。できたばかりの会社だけ相手にしてもそんなに儲からなくない?
しかし、会社を大きくしたいと思っていないと書いてあるから、いいのか……
2.自分でサービスをしたら?
受託開発は手堅いのがいいところだと思うのだ。サービスが一気に拡大するわけではないが、新製品が全く売れないというようなこともない。それでも、SIは本書に書かれているようにシステムが完成しないというリスクを抱えていて、規模でそのリスクを引き受けている。本書のビジネスモデルはそれすら抱えないわけじゃん。1人2人で作れる非常に小規模なものを作るだけ。Webサービスをつくる技術があるなら、自分でなんかWebサービスを作ったほうが面白くない?
しかし、顧客と一緒に作っているから自分でWebサービスを作ってる気にはなるか……
細々とコンサルタント業をするならいいのか?継続して仕事が入るなら問題ないか……
*1:「納品のない受託開発」という言葉は長いし良くないね