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AZIT: 高効率ローマ字入力法AZIK改良版

計算機

ローマ字入力の効率を向上させる入力法AZIKというものがあります。これを改良したAZITというローマ字入力法を作っています。

Google日本語入力用のローマ字テーブル: mozc_azit.txt

入力方法: README.md

今回は、AZIKのどこをよいと思ったのか、どこが気に食わなかったのか、AZIKに比べAZITは何が優れているのかを記したいと思います。

QWERTYキーボードとローマ字入力

ほとんどの人はPCで日本語を入力する際、QWERTY配列キーボードとローマ字入力を使用していると思います。これらは、いわゆるデファクトスタンダードと呼ばれるものです。当然、Dvorak配列や親指シフトの方が効率は良いのでしょう。しかし、それを下手に採用すると人のコンピュータは触れないし、逆にこちらのコンピュータも人に触れなくなります。QWERTY配列キーボードとローマ字入力が使えなければ、非常に不便を強いられます。

Dvorak配列や親指シフトに移行するための訓練・慣れのための手間は馬鹿になりません。生涯、手持ちのマシン以外触らないのであれば、Dvorak配列や親指シフトを時間をかけて覚えてもいいかもしれません。しかし、他の人が採用していないことによる不便に耐え切れなくなって、QWERTY配列キーボードとローマ字入力に戻らざるを得なくなる可能性も高い。その際、移行のための手間は無駄になってしまいます。

Dvorak配列や親指シフトにいちいち環境を用意するのも面倒です。新しいマシンを持ったら毎回環境を作る方法から調べなければならない。OSが変わったら同じ方法で環境を整えられる保証はありません。

さらに、ドライバやエミュレーターが持続的にサポートされる保証もありません。メーカーがサポートしていない方法というのは、篤志家がサポートを行っています。彼らにサポートの継続を求める権利はありません。原理的には彼らに加わって自らが動くべきものです。自前でサポートを行う能力も気概もないなら避けるべきだと考えています。

AZIKの利点

AZIKは、ローマ字入力の拡張です。ローマ字入力をマスターしている人にとっては、簡単に覚えることができます。逆に通常のローマ字入力に戻ることも簡単です。

AZIKには以下のようなコンセプトで作られています。

  • 頻出する二重母音と、母音+んを新たな母音としてキーを当てる。
  • 頻出する子音で2字打つ必要がある音も、1つのキーを当てる。
  • キーの配置的に打ちにくいキーの組み合わせには、互換の組み合わせを用意する。

母音の拡張

ローマ字入力で日本語を書く際、しょっちゅう同じならびのアルファベットを打っていることに気づきます。 「ou」や「ai」や「inn」や「ann」といった音はあまりに頻繁に打つので指が覚えてしまっているほどです。「ou」は「o」と「u」の2音ではなく、1音と認識しているように思います。1音に2つのキーを打つのは不自然です。もし、これらの頻出する音を1つのキーで打てるならば、打ち方も自然になるし、入力効率も向上します。

子音の拡張

「しゃ」行の字は頻出するにも関わらず、3つのキーを打たなければなりません。従来2キーを打たなければならなかったshやsyは、1つの子音として1キーを当てるべきです。

互換キー

QWERTY配列では同じ指を移動する必要があったりして打ちにくい組み合わせの文字があります。AZIKは大胆にも同じ字を打てる打ちやすいキーの組み合わせを提供してこの問題を解決しています。

AZIKの問題点

AZIKはコンセプトは大変優れていると思います。しかし、設計にやや問題がある点も見受けられます。

促音が打ちにくい

AZIKは「っ」を打つ場合は、「;」を打つ必要があります。しかし、通常の母音を2回重ねる方法の方が打ちやすい。この点はローマ字入力法を改悪しているように思います。

母音拡張のキー割り当てが不適切

AZIKは拡張母音を元の母音の近くに配置しています。「an」を「z」、「ai」を「q」、「ou」を「p」といった具合です。覚えやすさのためだと思いますが、近くにあるだけで母音の周囲の何処にあるかは不規則なので、決して覚えやすくありません。

また、「an」「ai」「ou」はよく使用するにも関わらず「z」「q」「p」は打ちづらいです。「z」が打ちづらいからと互換キーとして「n」を使ってもよいようになっていますが、それならばはじめから「n」に「an」の音を当てるべきではないでしょうか。「z」から「an」の音を連想するのは不可能です。音として関連がなく、覚えづらく、打ちづらい母音拡張の配置は不適切だと考えます。

左手の小指を酷使する点もよくありません。頻出する「an」「ai」が左小指を移動して打たなければなりません。キーボード操作を多様する人は左小指を痛め気味です。シフトキー・タブキー・コントロールキーの操作で左小指を頻繁に動かさなければならないので、腱鞘炎になりがちです。さらに左小指の動作を増やすべきではありません。

互換キーが多すぎる

互換キーが多すぎることもAZIKの問題点だと思っています。QWERTYの配列上どうしても打ちづらい文字が出てしまうので、互換キーというアイデア自体は素晴らしいと思います。しかし、拡張するならばなるべく互換キーが少なくなるように拡張すべきではないでしょうか。

AZITの設計思想と優位性

以上のAZIKの問題点を改善するためAZITでは次の方針で設計しています。

  • 使用頻度の高い二重母音・撥音は新たな母音としてキーを当てる。
  • 使用頻度の高い拗音には新たな子音としてキーを当てる。
  • 打ちにくいキーの組み合わせには互換キーを用意する。

という点についてはAZIKのコンセプトを踏襲します。

この際、キーを割り当てる方針として

  • 使用頻度の低い音は捨てて、使用頻度の高い音を書きやすくする。
  • 英語の綴りや音に近い書き方ができるようにする。
  • 代替キーを不要に増やさないように打ちやすいキーを当てる。

ということに気をつけています。

また、

  • 通常使う促音は従来どおりに子音を重ねて打てる
  • 句読点前の分かりきった母音は省略できる

といった独自の機能を備えています。

現在、テスターは製作者一人ですので、手前味噌ではありますが、AZIKと比べてAZITはより覚えやすく、打ちやすいローマ字入力法になっていると考えています。