ビジネス向けの製品は嫌い

ビジネス向けやエンタープライズ向けといって売られている製品に、会社員をしていますとよく出会います。特に IT ベンダーはこれらの言葉を好んで使います。しかし、私はそういったビジネス向けの製品を好ましく思っていません。

ビジネス向けと特別に言わなければならないほど、ビジネスとは偉いものなのだろうかと疑問に思います。BI -- Business Intelligence という単語は変な言葉です。ビジネスには元々知性がなかったのでしょうか。悲しいかな、あえて BI と言わなければならないように、大方の会社では当て推量で意志決定が行われているのが実態でしょう。ビジネスというものの程度の低さにもどかしさを、私はむしろ覚えているのに、これはビジネス向けの製品で特別なものだと言われますと戸惑うのです。

また、どんな道具であっても用事を済ませるために、つまり仕事をするために作られています。ビジネスだけが仕事ではないです。ビジネス向けとついていない製品であっても仕事で使えるように作られています。JavaEE -- Java Platform, Enterprise Edition というものがありますけれども、Spring だって Struts だって Seasar だって当然のことながら仕事で使うために開発されました。使うべきかどうかは、道具としての完成度の問題で、別の話です。

むしろ、ビジネス向けと言われたら、ビジネスにしか使えないのかと低く見てしまいます。ビジネス向けは、逆にそれ以外ものと比べて、要件が緩いように思っています。ビジネス向けとして売られている製品は、品質が低くないですか。会社で使わされる製品は、我々が私生活で使用している製品より、高価格なのにも関わらず、品質の水準が低いように思います。例えば、社内システムは特注品はもちろんのこと、パッケージや SaaS あっても、私生活で使うウェブサービスと比べて、ダサくて遅くて使いくくないでしょうか。欠陥や障害も多い。もちろんイケているのもありますが、イケてなくても許されます。なぜなら、ビジネスなら使う人に我慢させることができるからです。コンシューマ向けであれば、消費者は厳しいので、良くなければすぐに使ってくれなくなります。ビジネス向けとコンシューマ向け要求される品質のレベルに大きな差があります。もちろん、ビジネスに特有の要件というものはありますので、それを解決してくれる製品は必要です。仕事なので我慢して使います。

ビジネス/エンタープライズは、マーケティング用語です。特に意味もない、なんとなく分かった気にさせる言葉です。それで売れるならマーケティング用語であっても積極的に使うべきだと思っています。しかし、ビジネスを卑しいとまでは言いませんが、特に偉いものでもないと思っている人には、ビジネスという言葉でマーケティングされても通じません。