議論をするには抽象度を操作するべし

ワークショップなんかで議論する場合には、抽象度を意識する必要がある。

まずは参加者の話が合うレベルまで抽象度を上げなければならない。組織は存続せねばならないみたいな極端な一般論にまで、抽象度を上げなければ話が合わなくなるならば、もう全員では議論できないので諦めて、理解できない一部の人には泣いてもらって抽象度を下げる。

しかし、フワフワした議論になるの苦痛でしかないので、抽象を支えるような具象を集める。これは別に参加者が共有している事例である必要はない。ここで、重要なのは、事例の抽象度を合わせることだ。そうしないと、話がかみ合わなくなる。

もちろん、先に具体を集めてそこから一般化(抽象化)するのもありだ。ただ、あまりうまくいかない場合が多いように感じている。結論ありきで根拠を集めて、根拠と結論とが矛盾を生じてきたら、結論の方を修正していくというやり方の方が出来たものは綺麗になる。なぜなら、具体から一般を導く際には、結論と関係ないゴミを消すという作業が必要になるためだ。ゴミを消すにも理由が必要になってくるので、面倒くさいし、論理ステップを増やすと破綻しやすくなる。

抽象は、実際のところ根拠なんてなくても、自明に思えることであることがほとんどだ。意外な結論なんて、馬鹿があら探しをするだけだから、狙わない方がよい。

一般化して終わりならそれでよし。それでだめならモダスポネンス等の推論規則にしたがって抽象的な結論を導く。ここでも、最初から結論を決めておくのがおすすめだ。結論に材料が足りなければ、抽象度の高い命題を設定し、前述の方法で抽象度を下げた根拠を集める。

最後に求められている結論の抽象度にしたがって、再び抽象度を落としていく。この際、MESEを意識できればなお良い。どこに落としていくかは、ほとんど好みの問題なので、だれの好みに合わせるかの同意を取ることを忘れないこと。おそらくそれは参加者の好みではない。

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