この世に要件定義ができる人間は何人いるのだろう?

ITエンジニアの求人倍率が5倍以上と、非常に高い。世間ではエンジニアにやらせたい仕事の数に比べて、エンジニアの数が極端に不足しているということです。しかし、このことは私の感覚に合っていない。エンジニアの層は薄くて総数は少ないように思いますが、それでも余っているような気がしてます。

何もしていないわけではないが、別にやらなくてもいいことをやっている人が多いように思うのです。仕事をする人の数に対して、やるべき仕事が少なすぎるように感じています。やらなくていい開発をしなければ、エンジニア不足なんて問題は存在しないのではないでしょうか。

以前にいた会社では、企画を作れる人なんていなかったので、企画なしになんとなく開発が行われていた。多分あれは、開発をする人の仕事を維持するためだけの仕事だったのでしょう、あるいは管理職の仕事を維持するためのものだったのでしょう。人は余っていて、アイドリングのような仕事をさせるにしても、仕事を回すには人が足りない。エンジニア不足といっても実際のところは、このような事情なのではないかと推測します。

無意味な仕事をするなんて不幸なことだと思うのですが、それが平気な人の方が多いようです。もし意味を見出しているなら、単に見解の相違なので、無意味とか言ってごめんなさいと謝ります。そうでなくて、これは本当にやるべきことなのかとか考えないか、考えてないようにしている人が大多数だと思います。目の前のタスクをこなしていたら意義なんて分からないものですし、そんなこと考えない方で作業した方が、効率がよいからです。こういう人々を仮に作業者と呼びましょう。作業者はおそらく不足していない。やらなくていい仕事が多すぎるだけです。

しかし、やるべき仕事をつくることができる人は一体どれほどいるのだろう。事業を起こす人は、ほどんどいないし、そこまで大勢は要らないでしょう。しかし、要求・要件を定義したりすることができる人というのは、作業者の数に対して少なすぎると思います。要求者が言うことをそのまま転記する仕事のことを言っているのでない。いわゆる真の要求を見つけ出したり、論点を明らかにできる人のことを言っている。ぼんやりとしか言及できないのは私がそれをできないからです。

仕事の価値なんて何をするかでほとんど決まります。やろうとしていることが正しかったら、実装の品質なんて少々劣っていてもよいとさえ思います。前述の以前いた会社の人は、うちの製品は商品性はないが品質は高いと言っていましたが、それを品質が低いというのではないでしょうか。実装の品質も本当にこれ売っているのかと疑問に思うようなものでしたが。要件定義が正しければ、品質なんて後からついてくると思います。

私は、何かを間違ってエンジニアとかやっているが、基本的に開発が嫌いなので、作って動いたなんて仕事だと思っていない。これをする意味あるのかとしばしばぶーたれている。このスタンスが果たして好ましいのかは別として、この視点から見たら、世の中には問題は山積みだけれども、それを要件にできる人が少なすぎるがために、やるべきでない仕事が多すぎるように思うわけです。

ぼんやりとしたイメージしかまだ持てないのではあるが、大して難しいことのようにも思わない。私はできないのだが、どうしてみんなもできないしやらないのだろうと不思議に思う。そもそもこれは誰がするべき仕事なのだろうか。コンサルタントの仕事なのだろうか。供給の少なさに比して高い需要があると見ているので、みんなやったらいいのにと思うし、そうしたらみんなが幸せになるのではないだろうか。