バカラでカウンティングは有効か

前回 バカラの勝率の計算 - 超ウィザード級ハッカーのたのしみ

バカラにハマったので、バカラを分析して遊んでいます。今回はカードの偏りがバカラの勝敗に与える影響について調べてみましょう。なぜこのようなことをするかというと、カウンティングが有効かどうかを調べるためです。ブラックジャックはカードの偏りの状態によっては期待値が 1 を超えことがあると知られています。カウンティングと呼ばれるテクニックで、デッキの中のカードの偏りの状態を推定するのが、有名なブラックジャックの必勝法です。バカラでも同様の必勝法が有効なのでしょうか?調べてみましょう。

偏りがないときの控除率

house edge
player 0.012350813
banker 0.010579058
banker (no commission) 0.014581045

偏りがないときの控除率は上記のようになります。控除率とは胴元の取り分のことです。ハウスエッジともいいます。1000 円賭けたら 11~15 円程度がカジノに持っていかれます。これを大きいと見るかどうかは価値観の問題ですが、バカラはハウスエッジが 1 程度に対してリターンが -100 か 100 と分散が大きく、ハウスエッジが気にならないぐらいお金が激しく上下します。このギャンブル性の高さが魅力なのでしょう。

no commission と書いているのは、Banker (以下 B とする) が勝ったときの手数料がないノーコミッションルールの場合です。普通のルールの場合は B に賭けるほうがやや有利ですが、ノーコミッションルールの場合は Player (以下 P とする) に賭けるほうが有利です。ノーコミッションルールのほうが遊ぶ側の手間は少ないのですが、控除率が低いので遊ぶなら普通ルールのほうが良いでしょうか。しかし、ルールが複雑な分、抜け道の必勝法があるかもしれませんので、ノーコミッションルールも含めて調べていきましょう。

1つの種類のカードの偏り

まずは1種類のカードの偏りが控除率に与える影響を調べます。今後カウンティングに使うことを目指しますので、デッキから特定のカードを抜いて、ゲームを継続したときの控除率の期待値がどうなるのかを調べます。

8 デッキの 416 枚のカードから X 点のカードを N 枚抜いたときの控除率を考えます。N が大きくなるにつれて、どのように控除率が増減するのかを調べます。0 から 9 まで 10 種類ありますが、一気に結果を貼ってしまいましょう。

0 カード (10, J, Q, K)

0 点のカード 10, J, Q, K は合計 8 x 4 x 4 = 128 枚あります。これらカードを抜いていくと P の控除率が上がり、B の控除率が下がります。一定の偏りがあったとき、ノーコミッションルールでの P と B のハウスエッジが逆転します。これはデッキの状態によっては最適な賭け方が変わることを示唆しています。

0 のカードがとても少ないと、極値を取った後に増加減少の向きが変わります。しかし、そこまで偏ることは珍しいので実用上は単調増加、単調減少として差し支えないでしょう。

1, 2, 3, 4 カード

1 から4のカードは概ね同じなのでまとめて紹介します。0 と同様に、1 から 4 のカードも引かれて、デッキから少なくなると B の控除率が下がり、P の控除率が上がります。

点数が多いカードのほうが、偏りの影響が大きくなるようです。値が大きい方が場に与える影響も大きいからと説明できるでしょう。

5 カード

0 - 4と比べて 5 は傾向が大きく変わります。5 のカード以降はこれまでとは逆に多くひくと、P に有利になっていきます。

6 カード

6 のカードはノーコミッションルールの下では特殊です。6 のカードが少ないと、B が 6 で勝つ場合が減り、B の控除率が減ります。しかし、6 が少ないと P の勝率も増えてしまうよう、6 が少ないからと B に賭けても P に賭ける以上の効果は期待できません。

7, 8, 9 カード

7, 8, 9 のカードも 5 と同様にデッキ内の数が少ないとき P に有利になります。

コミッションありとなしの場合の B の控除率を比べると、7, 8, 9 のカードが少なくなるにつれて、控除率の差が開いていきます。7, 8, 9 のカードが少ないと、7, 8, 9 の有利な点数で勝つ場合が少なくなるからでしょう。ノーコミッションルールの B が、特別有利になる条件は見つけれませんでしたが、逆にもっと不利になってしまう条件はあるようです。

カードごとの控除率の変化

カードの種類ごとの比較がしやすいように、控除率の変化をカードごとに並べました。1枚カードを抜いたときの控除率の変化を示しています。

B か P かどちらかが勝つゲームなので、基本的に B に有利なカードと P に有利なカードは分かれていて、全体的に良くなったり悪くなったりするカードはありません。0~4 の小さいカードを引くと B に有利になり、5~9 の大きいカードを引くと P が有利になります。ただし、ノーコミッションルールのときは 6 だけは引くと全体的に控除率が下がります。

またカードごとに場に与える影響に差があります。値が大きいほうが場に与える影響は大きいが、大きすぎると合計値が10を超えてしまうので、逆効果にもなるようで、中央が膨らんでいます。

1枚のカードの偏りと控除率への影響を調べて、有利なカード、不利なカードが明らかになりました。では 0~4 のカード、5~9 のカードが全体的に偏っている場合に控除率はどうなるのかが気になります。次回はそれを調べてみます。バカラでカウンティングは有効の答えは次回に回します。