所感 a.k.a. poem

決める能力

会社でも役所でも国家でも人が集まるところには、人が集まること特有の事象というのが多くあります。その中でも特に「決める」ということは、一人で何かする場合にはありえない面倒な作業です。決裁とか承認とか呼ばれるものです。 決裁とか承認は、職務権限…

やる順で仕上がりは決まる

仕事の出来栄えは、どのような順番でサブタスクをこなしていくか、考えていくかで大きく変わってくるように思います。もちろん、やる順番が唯一の説明変数ではありませんが、安定した仕事ができる経験豊かな人と、そうでない未熟な人、この二者の間では、明…

ビジネス向けの製品は嫌い

ビジネス向けやエンタープライズ向けといって売られている製品に、会社員をしていますとよく出会います。特に IT ベンダーはこれらの言葉を好んで使います。しかし、私はそういったビジネス向けの製品を好ましく思っていません。 ビジネス向けと特別に言わな…

マネージャをマネジメントする。

マネージャと呼ばれる職種の人はどこの組織にもいます。いわゆる中間管理職の人々です。個人の人格は別にして、彼らには組織上の機能の要請から、共通の行動原理があります。マネージャは例外なくこの行動原理にしたがって動きます。特に優秀なマネージャで…

接点 t を見つける

現実はおそらく一つなのだろうけれども、どの断面で切り取るかによって見え方は全く異なるものになります。人の知性では世界をそのまま認識することはできず、何かしらのフィルターを通して世界を見て解釈します。フィルターとはフレームワークやパラダイム…

愚者は経験に学び、賢者は歴史に学ぶ

経験とはそう大切なものなのだろうか。 何かをするにあたって、経験が全くないよりは豊富に経験があった方が上手くできるでしょうし、年の功が役に立つことはあります。役に立つとは問題を解決するのに有効かどうかということです。問題を解くことに効果があ…

社員は大事にされなきゃ貢献もしない

4月――どこからともなく新入社員が会社に入ってきます。私も会社員をしている時間がずいぶん長くなってしまい、彼らを指導する立場になってしまいました。会社員をやっているものの、私は会社組織というものがあまり好きではないのだが、彼らには会社組織に愛…

実装に依存するな、仕様に依存しろ

仕様とはわかりくい概念です。辞書には次のようにあります: 製品や注文にあたって、あらかじめ定める仕上がり品の構造やデザイン。 仕様は発注者が定めて、受注者がそれに従うもののようです。仕様書を固めて、そのとおりに製造し、仕様書と照らし合せて完…

社会は素人ばっかりだ

社会に関する驚くべき事実の一つが、ほとんど全ての人が労働をして給与所得を得ていることです。大体の人は働かないと文化的な生活が維持できないので、何かしらの職業についています。当たり前のことではあるが、よくよく考えてみるとすごいことです。こん…

設計は名前のことだけ考えろ

ドゥルーズという学者は 哲学とは概念を創造することだ と述べていますが、現代で「概念の創造」という仕事を最も行っている職種は哲学者ではなくてプログラマでしょう。辞書を引くとコンピュータ用語が多く出てきます。それだけ新しい概念が作られたという…

パッケージングと付加価値

安く買って高く売るは、商売の基本です。世の中には仲介業者というのが大勢いて、(ちゃんと調べたことはないですが)労働者のかなりの割合が仲介業をしていると思われます。 しかし、今や21世紀であって、これだけ IT 化が進んできますと、ただ右から左にも…

この世に要件定義ができる人間は何人いるのだろう?

ITエンジニアの求人倍率が5倍以上と、非常に高い。世間ではエンジニアにやらせたい仕事の数に比べて、エンジニアの数が極端に不足しているということです。しかし、このことは私の感覚に合っていない。エンジニアの層は薄くて総数は少ないように思いますが…

難しいことは仕事ではない

仕事が難しくなければならないなんて一体誰が決めたのでしょう。このことを誤解している人が多いように思いますし、そのために私もずいぶん長らく勘違いをしていました。しかしながら、考えを改めまして最近では、難しいことは仕事ではないと思っております…

ソフトウェアの設計など不要では?

ソフトウェアの設計技法は数多く提唱されてきました。構造化設計から始まり、オブジェクト指向設計、デザインパターン、ドメイン駆動設計、など。私も趣味でこれらについてかなり勉強してきたように思います。問題を綺麗に解くことが好きだからでしょう。 し…

プログラミングと英語

英語ができなかったら、プログラミングはできるとは言えないのではないか。英語ができなければ近いうちにソフトウェアエンジニアと名乗れなくなるのではないかと思う。私は英語ができない側の人間だから、こんなことを考えるのだと思いますが。 日本社会とし…

プログラムのレイヤーは降りれても登れない

プログラムにはレイヤーというものがあります。レベルとも呼びます。プログラムというのは人間の理解を超えて複雑なものなので、全容を知るということは人間には出来ません。理解できない複雑なものを理解するために、人間には便利な思考法が備わっています…

正しい人間になりたい

このところずっと心に思っていることがある、ちょっとはマシな人間になりたい。恥の多い生涯を送って来ましたが、そろそろお天道様に顔向けできるような人生を歩みたいです。 マシな人間とは正しいことをする人のことです。正義を信じ、正義を貫ける人に私は…

『方法序説』を読んだ

デカルトの『方法序説』を読みました。昔読んだはずなのに全然覚えてなくて、びっくりした。 デカルトといえば『我思う故に我あり』の言葉で有名な昔の学者です。それ以外にもデカルトの影響は現代にも強く残っていて、ax + b = c というように、未知数を x,…

アニメーションと機械学習

TV 番組で ドワンゴ の人が アニメーション監督の宮崎駿氏に機械学習のデモを見せて「生命への冒涜だ」と怒られたことが話題になりました。 インターネットの記事を見ると、「川上(ドワンゴの代表)め、ざまあみろ」といった意見が目立ちますが、私は宮崎氏…

権威と OSS

権威とはなんなのだろう?――というのは長いこと悩んでいる疑問である。私が権威が大好きな権威主義者ということなのだろうな。 また、OSS というのも社会学的に興味深い営みであり、これを観察することも趣味である。 さて、どうも最近 OSS が権威主義的にな…

インターネットの物理学

服部の『Amazonランキングの謎を解く: 確率的な順位付けが教える売上の構造 (DOJIN選書)』を読んで、なかなか興味深かった。(興味深かったけれども、本書は分かる人にしか分からなくて、分かる人は原著論文が読めるレベルという一体誰向けに書いているのか…

シンプル騎士団を結社する

シンプル騎士団を結社する。 シンプルであることが設計の最大の美徳ある。これを教義とした秘密結社、シンプル騎士団を結成したいと思う。活動の実体もないし、名簿とかもない。シンプルさって大切だよねと思っている人は、ただ心に思うだけで、特に手続きも…

技術者が得意げに解説することこそ解決すべき技術的課題

技術者というのは、製品の仕組みだとか作リ方だとか飼い慣らし方だとかを知っている。それが彼らの自尊心だから、知っていることを得意げに語りたがるし、知らない人を下に見たりする。気持ちはわかるし、誇りを持つことは良いことだ。 ずっとやっていたら詳…

企業と効率とインターネットの可能性

一般論として世の中の企業というのは非効率で不合理な多くてどうにかならんもんかなと思う。 ムダのために会社が損をしたら、株主なり債権者は金銭的に困る。従業員からしても、自分の金ではないからと、『サラリーマンは気楽な稼業と来たもんだ』とはならな…

ドリル/穴 問題について

マーケティングの格言に ドリルを買いに来た人が欲しいのはドリルではなく穴である。 というのがある。至言だ。この言葉にはいろいろ思うところがある。 言葉だけ聞くと当然のことである。道具なんて所詮道具だ。用途があって道具がある。用途がない道具はな…

プログラミングは「モノづくり」なのか?

ソフトウェアを開発することを「モノづくり」と言う人が少なからずいる。これにすごく違和感があるのは私だけだろうか? 「モノづくり」ってよく分からない言葉だが、日本の製造業をポジティブに表現するために使う。すり合わせだとか高度な熟練技能だとか日…

頼むから凝ったコードを書かないでくれ

コーディングは自由度が高い。自由度が高いゆえに、同じことをいろいろなやり方でできてしまう。 There should be one-- and preferably only one --obvious way to do it. とZen of Pythonにあるように冴えたやり方はたった1つだ。しかしながら、イマイチ…

アーキテクチャは疎↔密を繰り返す

歴史は繰り返しでアナロジーがあるから面白い。ソフトウェアのアーキテクチャの流行りを調べてみると同じようなことを言葉を変えて繰り返している。切り口はいろいろあると思うが、今日はアーキテクチャという切り口から見てみる。 ソフトウェアのアーキテク…

仕事の重要度と難しさは別

仕事の重要度と難しさは別物だと最近気づきました。職に貴賎なしとは言いますが、事実として社会的地位には高い低いがあります。社会的地位が高い職が難しいかというとそんなことはない。縦軸を重要度、横軸を難しさにしたときの分布を描くと左下から右上へ…

新しい切り口で世界を見たい

面白いことないかなといつも思っている。だが、面白いってなんなのだろう? 私にとっての面白さというのは、世界の見方について新しい切り口を見つけることだ。 株や為替の動きはただの数字の上下だが、系に対する入力と出力で見たら経済学だし、確率から見…