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『希望の国のエクソダス』

小説

希望の国エクソダス
村上龍
文春文庫

希望の国のエクソダス (文春文庫)

「この国には何でもある.本当にいろいろなものがあります.だが,希望だけがない.」

閉塞感という言葉もいい加減聞き飽きた.失われた~年と言われてから何年たった?本書が刊行されて10年過ぎたが,状況は全く変わっていない.

希望がないとは,なりたいものがないということだ.

まぁ,子どもの場合ですが,とりあえず大人のやり方を真似るっていうか,参考にしていく以外に生き方を考えることはできないわけで,要するに,誰を真似すればいいのか,みたいなことがまったくわからなくなってしまっているわけです.

現状も悪いが,このまま行った先はもっと悪いことが明らかなのにも関わらず,解決する方法がない.この道の先には,こうはなりたくないと思える大人しかいない.

そんなんじゃやってけないぞというけれど,そもそも私はあなたたちみたいになりたくない.この場所があなたたちみたいな人間を育てるためにあるならば,ここは私のいるべき場所じゃない.どこでもいいから,ここでないどこかに脱出するしかないではないか?

閉塞感から日本中の中学生が学校を捨てて,彼らのネットワークは新たな国家のようなものを作るようになるまでに至る.彼らの反乱の動機はよく分かる.中学生の時にこれを読んだら,一人で革命,エクソダスを起こしていたかもしらない.

彼らのエクソダス共産主義革命を感じずにはいられない.そして,滅びていく理由も共産主義のようになるのだろう.

この快適で人工的な町に希望はあるのだろうか,と考えた.もし希望があるとしても,現実に向けてドライブしていく動力となるのは欲望だろう.彼らには欲望が希薄なことはポンちゃん自身が認めている.

為替市場の話は,よく研究されて書かれているように思ったが,ディティールを詰めた現実っぽい話は,余計に虚構性を感じた.

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FJK'S BOOK NOTE: 『希望の国のエクソダス』
より一部修正して転載