『闘うプログラマー』

『闘うプログラマ[新装版] ビル・ゲイツの野望を担った男達』
G・パスカル・ザカリー
山岡洋一 訳
日経BP

闘うプログラマー[新装版]

世界最高のOS、Windows NTを作った男たちの物語。

もともとLinuxを含むUNIX系OSはあまり好きでなかった。

UNIXはカトラーの宿敵だ。モリアーティ教授(シャーロック・ホームズの宿敵)のようなものだ。カトラーは博士ばかりの委員会が設計したクズのようなオペレーティング・システムだと思っている。一貫した思想がないし、その欠陥が露呈している。だからいつも、UNIXをぶちのめそうと考えてきた。しかし、実際にそのチャンスをつかんだのは、はじめてだった。」

これを読んでWindows NT系が最高のOSと公言するようになった。やっぱりLinuxはオモチャだ。*1

それがぼくには楽しかったから (小プロ・ブックス)

Linux開発者のトーバルズの自伝やと比較すると面白い。オープンソースプロプライエタリのソフトウェア、あるいはアマとプロの仕事の比較でもある。プロのプログラマーの仕事とはなんと厳しいことか。

NTの開発リーダーのデヴィッド・カトラーはプロ中のプロプログラマーだ。率先垂範、腕力で組織を動かす指揮官だ。評論家あるいは傍観者のマネージャが世の中多い中で、カトラーのような鬼軍曹は貴重だ。

部屋にはいってきたカトラーは「空軍大佐のようだった。髭をきれいに剃り、髪を短く刈って、猛烈で、まじめで、頑固な態度だった。ソフトウェア業界に、あんなに真剣に仕事に打ちこむ人間がいるとは、思わなかった」

怒って壁に穴開けるとか、マンガのキャラクターのようだ。

世界2大理想の上司像は、『パトレイバー』の後藤隊長内海課長だと思っていたが、これからはデヴィッド・カトラーを追加して世界3大理想の上司としよう。

NT開発プロジェクトは死屍累々、開発者は公私ともにひどいことになったが、得られたものも大きい。

「われわれの仕事は、とてつもなくきびしい。何年か経てば、チームのメンバーはこの仕事を振り返って誇りに思うだろう。そして、『こんなに大きな仕事をやり遂げたことも、これほど純粋に生きたこともなかった。出世も幸福も、上司や友人とうまくやっていけるかどうかも、気にする必要はなかった。頭にあったのは、この製品を出荷すること、この製品をできる限りいいものにすることだけだった』と語るだろう」と、カトラーは言う。

こういう働きを要求するカトラーは、本当に厳しい怖い男だが、憧れる。

*1:それがいいというところは否定できないし、そういう文化も嫌いではない。