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文章作法指南書一覧

  • 2015-08-29 『「超」文章法――伝えたいことをどう書くか』を追加した。
  • 2015-08-29 『日本語の作文技術』を追加した。
  • 2015-09-06 『考える技術・書く技術』を追加した。

文章作法についての本を集めて読んでいる。

読んだ本それぞれについて、特徴・感想をまとめる。順番は私が読んだ順である。

1. 福嶋隆史 『日本語の活かし方』

日本語の活かし方 (星海社新書)

日本語の活かし方 (星海社新書)

文章作法ではなく論理についての本と考えた方がよい。文章の要素の三つの関係:

  1. 同等関係
  2. 対比関係
  3. 因果関係

の整理能力を論理的思考力とし、それらを操る方法を述べている点が新しい。*1内容は新しいし興味深いが、相当広い内容と思われるので説明し切るには紙面が足りていないか、脇道が多いように思う。

少ない文で改行されるという近年特有の文章作法でかかれており、本自体の文章は文章はの見本として不適当である。

2. 杉原厚吉 『理科系のための英文作法――文章をなめらかにつなぐために四つの法則――』

『理科系の作文技術』パロディーのようなタイトルが目につく。タイトルの通り、英文の文のつながりに重点が置かれている。

四つの法則とは、

  1. 話の道筋に道標を
  2. 中身にあった入れ物を
  3. 古い情報を前に
  4. 視点をむやみに移動しない

である。副題に四つの法則とついているわりには、これら四つがまとめて記述されている箇所がなく、四つが個別に説明されているだけで体系的ではない。なぜ四つが出てきて、それぞれはどういう関係があるのかが不明である。

1の法則は文章のつなぎの言葉についてであり、つなぎの言葉一覧は便利そうだ。

2の法則は句・節の構造によるつながりについてで、日本語作文にも適用できそうである。

3の法則は、前の文を受けて文章を進めなければならないという英語の非常に重要な制限についてである。日本語の場合もこの法則を意識すれば、『理科系の作文技術』で禁忌とされている逆茂木型の文章になってしまうことを防ぐことができる。

4の法則は、『日本語作文術』に

日本語の文章の視点は「私」が基本である。(p.79)

とあるように日本語の場合は視点が固定されているので視点について意識しないので、英文を書く場合は視点を意識しなければならないことに由来すると思われる。。

3. 木下是雄 『理科系の作文技術』

理科系の作文技術 (中公新書 (624))

理科系の作文技術 (中公新書 (624))

非常に有名な本である。とりあえずこれを読むべき。

『理科系のための英文作法』も同じであるが、横書きで句読点にカンマ・ピリオドを用いている点が重要である。つまり、そういう文章を書くのための指南書である。

理科系の仕事の文章は情報と意見だけの伝達を使命とするといってもいい.

(略) 理科系の仕事の文章を書くときの心得は

  1. 主題について述べるべき事実と意見を十分に精選し,
  2. それらを,事実と意見とを峻別しながら,順序よく,明快・簡潔に記述する

ことであると要約できる.(p.6)

後半の執筆メモや講演についての記述は、手書きやOHPを前提としており古い。

4. 野内良三 『日本語作文術――伝わる文章を書くために――』

日本語作文術 (中公新書)

日本語作文術 (中公新書)

日本語での作文に重点が置かれている。書き言葉としての日本語を一種の外国語と捉え直している点がよい。明治期に日本語から書き言葉が失われてしまったが、今、日本語の書き言葉を再び定義し直すべきではないかと個人的には思っている。

1章の短文についての指南は日本語を操る上で必要なテクニックを示している。例えば、修飾語の語順・読点の位置・ハ/ガの使い分け・名詞中心文/動詞中心文の書き換えについてである。なんとなくやっているかもしれないが、意識して行うと文が明快になるだろう。

2章は段落、3章は論証についてであり、日本語に限らず文章一般について述べている。

2章の記述は『理科系の作文技術』と重なっている部分が多く、『理科系の――』の方が詳しい。

3章は論証についてで、これは『理科系の――』にはない。これは『理科系の――』は主張と材料はすでに集まっているところから始めることを前提にしているからだと思われる。本書では演繹法帰納法の論理展開を紹介している。『日本語の活かし方』の因果関係の整理に相当する内容であり、ほかの同等関係・対比関係の整理の観点を加えると完全になるだろう。

4章で定形表現の羅列に多くのページを割いている。こんなものは付録としてインターネットにでも貼り付けるべきものだと思う。網羅性も疑問だ。だた、「舵取り」表現のリストは便利そうではあった。だが、オノマトペ・慣用句・ことわざのリストは「理科系の」という観点から見ると実用性が低そうだ。

5. 野口悠紀雄 『「超」文章法――伝えたいことをどう書くか』

「超」文章法 (中公新書)

「超」文章法 (中公新書)

イシューからはじめよ―知的生産の「シンプルな本質」』と重複した内容である。

この章で述べるのは、「読者に伝えたいメッセージを明確化せよ」ということである。従来の文章読本は、この点をあまり重要視していなかった。しかし、論述文の場合には、これこそが文章作成作業の核心である。それ以外の注意は、付けたしにすぎない。 (p.10)

あとは雑多な内容だ。その中で、なるほどと思ったことは、次だ。

比較優位を活用せよ」ということでもある。比較優位は、どんな人ももっている。それをこそ発揮すべきである。 (p.36)

他の人より詳しいところで勝負せよということ。

しかし、アブストラクトといえども、雑誌の該当ページを開かなければ読めない。そこで、雑誌の表紙に示されているタイトルで勝負をすることになる (p.105)

タイトルは大事ということ。

著作の好みでこういうのが嫌いだという指摘が多かった。あなたの好みなんて知らんがなとは思うけれども、避けようと思う。

6. 本多勝一 『日本語の作文技術』

日本語の作文技術 (朝日文庫)

日本語の作文技術 (朝日文庫)

これも有名な本だ。

作文法についての書物には、文章についてに重きが置かれている本と、文についてが重きが置かれている本がある。本書は後者だ。

  • 修飾語の順番
  • 読点の打ち方
  • 助詞の使い方

について詳しい。文をよくするための技術については本書が最高であろう。

野内の『日本語作文術』の1章が本書のサマリーとなっている。

7. バーバラ・ミント 『考える技術・書く技術――問題解決力を伸ばすピラミッド原則――』

考える技術・書く技術―問題解決力を伸ばすピラミッド原則

考える技術・書く技術―問題解決力を伸ばすピラミッド原則

文章の中で最も大枠の構成について書かれている。ミントのピラミッド原則はレポート文章のスタンダードだ。これに従って構成すれば、読む人も慣れているということもあり、自動的に理解しやすくなるだろう。

導入部の書き方が参考になった。

(導入部は)すべて結局はS (Situation: 状況)――C (Complication: 複雑化)――Q (Question: 疑問) の基本構造にのっとっていることがわかるでしょう。 (p.52)

つまり、古典的な起承転結の構成にするのがよい。結がそのレポートでの主張である。その後、各章で主張を根拠付けるための主張を行っていく。

第III部の『問題解決の技術』については、あまり分かりやすくはなかった。