『機械との競争』
Race Ageinst The Machine: How the Degital Revolution is Accelerating Innovation, Driving Productivity, and Irreversibly Transforming Employment and the Economy
エリック・ブリニョルフソン,アンドリュー・マカフィー
村井章子訳
日経BP社
第1章 テクノロジーが雇用と経済に与える影響
第2章 チェス盤の残り半分にさしかかった技術と人間
第3章 創造的破壊―加速するテクノロジー,消えていく仕事
第4章 では,どうすればいいか
第5章 結論―デジタルフロンティア
解説 日本が世界と伍して戦うには (小峰隆夫)
装丁は格好いいが,読みにくい.紙も,ボール紙のように黄色くて,かたい.字もでかい.値段につりあっていない.しかし,情報の少なくても,内容は興味深かった.
情報通信技術によって,資本主義社会は新しい局面を迎えている.コンピュータが仕事を奪う時のインパクトは蒸気機関より凄まじいことになりそうだ.
本書でも指摘されているように,ICTが驚異的なのは成長の速さだ.等比級数的に性能が向上していくわけで,加速度的とかより凄まじいのだ.今のペースでいくと,と人は未来を予想するが,今のペースではいかないのだ.コンピュータの性能は想像を超えるものとなり,とんでもないことも可能となるのだろう.
そうすると,仕事が奪われるわけだ.技術によって,人が要らなくなるというのは,それ自体はいいことだ.生きるために必要なこと以外のことができるようになるのだから.仕事を奪われた人が,仕事以外のことをできるなら問題ないのだが,そうはならない.奪われる人はただ奪われるだけで,技術の恩恵は受けられない.資本家なりごく一部の人が恩恵に預かるのだ.
確かにそうなりそうだが,今アメリカで格差が拡大しているのは,コンピュータと関係あるのか?それはアメリカの経済とか政治のシステムの問題だと思うけれど.
機械に仕事を奪われるのは中間層だそうだ.それは,私ではないか.肉体労働もできない.資本家でもスーパーマンでも高いスキルをもった労働者でもない.それは困る.4章の,『では,どうすればいいか』も本当かな?という感じだ.それができる人はそもそも仕事を奪われないだろう.危機感を持つ.
一度転んだら,再チャレンジは許されない日本だ.なんとかコンピュータを使う側に回りたいな.
FJK'S BOOK NOTEの2013年4月の記事を一部修正して転載