オープンソースの弱点(4)サポート

OSSが弱そうなところについて書いています。

のうち今回はサポートについて。

サポート

OSSで商売をするとしたら最も一般的な方法はサポートだ。*1したがって、弱そうなところというのはウソです。サポートを考えると安価であるというOSSの良さが失われると思っているので、挙げた。

OSSの開発は多くの人がよってたかってするので効率的だ。しかし、それ以外の付随作業はメンドクサイので協力してくれる人は少なくなりがちだ。

金を払っても人にやらせたいようなメンドクサイことを引き受けるのが仕事だと定義するならば、OSSで開発以外のサポート等の付随作業を行うことはビジネスとして成立する。そのため、サポートというのがOSSをビジネス化する一般的な手段となっていると考える。Q&Aだとか導入支援だとか障害修正だとかである。マニュアルの作成等もサポートに含めてもいいかもしれない。

しかし、職業にして初めて知ったことですが、ソフトウェア産業というのはプログラムを開発するというのはごく一部に過ぎない。設計やテストといったコーディング以外の作業を含めてもだ。全体のうちサポートというのはかなり大きな割合を占めている印象を持っている。

OSSだから開発が効率的だからといって、全体に占める割合が少なければ効果は低い。つまり、有償サポートを頼むならば、プロプライエタリソフトウェアと比べて価格的には有利にはならないだろう。*2

サポートビジネスが成立するには使用者が非常に多くなくてはならない。その業界の人なら誰でも知っているぐらいでないとサポートビジネスは無理だ。使用者がそこまで多くないOSSで企業によるサポートは期待できない。

ソースコードが公開されているからサポート無しで自前で頑張ることもできないことはない。ここはOSSの利点だ。

しかし、それができる専門家を維持できるほど余裕のある企業は少ない。また、その人への属人化は避けられない。大きいところならOSSのほうが安くなるかもしれないが、小さいところなら有償サポート以上に費用がかかる。

もちろん、コミュニティに頼ることは可能だ。stackoverflowで質問すれば親切な人が教えてくれるかもしれない。障害を報告すればボランティアでOSSのメンテナンスを行っている人が直してくれるかもしれない。しかし、全面的にそれに頼るのは虫が良すぎる。また、彼らは必死で解決しようとは当然してくれない。気が向けばやってくれるぐらいで、企業のサポートのように最優先で尽力してくれるなんてことはない。基本的には自力で頑張るのが筋だ。コミュニティの規模や質にもよるが、頼るにはリスクが大きい。また、OSSコミュニティが特別親切というわけでもなく、Windowsでもわからないことがあったら同じように質問すれば答えてくれる人はいる。むしろ、利用人数が多い分親切な人も多いだろう。

サポートという観点ではプロプライエタリソフトウェアが有利とは思わないが、OSSの方が良いということも決してない。ユーザーからしたらどちらでも同じぐらい手間と費用がかかるというのが実際だろう。

オープンソースソフトウェアの育て方

オープンソースソフトウェアの育て方

*1:ただし、OSSのサポートで大きく成功できたのはRedHatぐらいしか私は知らない。OSというのは、他のソフトウェアからの依存度が非常に強いという特徴があるから上手く行ったと考えている。これについてはいつかまとめようと思う。

*2:価格の見積もりを取ったことがないので裏付けはないです。